ダンススクールや書道教室、学習塾など、習い事教室を運営するうえで欠かせないのが集金業務です。現金・口座振替・クレジットカード決済など、それぞれにメリットとデメリットが存在します。この記事では、主要な集金方法の特徴とあわせて、それぞれの利点や注意点をわかりやすく解説します。
現金集金のメリット・デメリット
習い事教室を運営するうえで検討する必要があるのが、月謝や受講料の集金方法です。経済産業省の調査によると、2023年の日本国内におけるキャッシュレス決済比率は39.3％に達していますが、今なお多くの小規模な教室などで根強く採用されているのが、現金による集金です。
メリット
現金による集金は、システムの導入や特別な契約が不要で、誰でもすぐに始められるのが特徴です。また、初期費用もランニングコストもかかりません。
さらに、対面でのやり取りが発生するため、保護者や生徒とのコミュニケーションが自然に生まれ、信頼関係の構築につながるという利点もあります。加えて、決済手数料が発生しないため、全額が収益として手元に残る点も、運営者にとっては大きな魅力です。
デメリット
子どもが通う教室では、現金を持ち歩かせること自体に不安がともないます。保護者としても細かい金額を用意する手間があり、集金額に誤りがあった場合の返金対応や、次月の調整といった煩雑な処理も必要です。
さらに、未払いのまま放置されるリスクも否定できません。加えて、手書きでの支払い管理は人的ミスを招きやすく、誰が支払ったのかの確認に時間がかかるのもデメリットです。
クレジット決済のメリット・デメリット
2023年時点でのクレジットカードの普及率は87%で、一般家庭にも広く普及した決済方法です。支払いによってはポイントが付与されることもあり、支払い側のメリットも多い決済方法です。
メリット
クレジットカード決済を導入する最大のメリットは、現金の取り扱いが不要になることです。紛失や盗難のリスクがなくなるほか、支払いの記録がすべてデータとして残るため、月末処理や確定申告の作業を大幅に軽減できます。
また、自動での継続課金が可能なシステムを使えば、集金漏れのリスクを最小限に抑えられ、管理者にとっては大きな安心材料です。一方、支払う側にとっても、ポイント付与や分割払い、利用明細の可視化などのメリットがあり、現代の生活スタイルに合った決済手段といえるでしょう。
デメリット
クレジットカードの導入には、いくつかのハードルがあります。まず、システム導入時には、初期費用や契約手続きが必要であり、月々の決済ごとに一定の手数料が発生するのも大きなデメリットです。
そのため、少人数制の教室などで収益が限られているケースでは、手数料負担が経営に影響をおよぼす可能性があります。また、売上金がすぐに入金されるわけではなく、決済事業者によっては数日から数週間かかるケースもあります。
さらに、クレジットカードを保有していない保護者も存在するとともに、生徒本人が未成年でカードが使えないことも多く、すべての利用者が使用できないという点にも、注意が必要です。
口座振替のメリット・デメリット
月謝や受講料の集金方法として、多くの習い事教室やスクールで導入が進んでいるのが口座振替です。クレジットカード決済に比べると手数料が低く抑えられる傾向があり、集金業務の負担を軽減できる点が大きな魅力とされています。
メリット
口座振替の一番のメリットは、自動決済されることです。決められた日に毎月一定額が口座から引き落とされるため、受講者が払い忘れる心配が少なく、教室側も未回収や催促対応といったトラブルを回避しやすくなります。
また、振替結果や履歴は、すべてデータとして可視化できるため、月末の集計作業や会計処理、確定申告の際にも非常に役立ちます。これにより、業務の効率化が実現し、事務作業にかかる時間を大きく削減できるのがメリットです。
さらに、クレジットカード決済や電子マネー決済と比較して、手数料が低めに設定されている場合が多いのも魅力のひとつです。生徒数が多い教室ほど、この手数料の差は運営コストに大きく影響するため、長期的な視点で見ても導入メリットは小さくありません。
デメリット
口座振替には、導入時の手間がかかるのがデメリットです。まず、決済システムを契約し、受講者ひとりひとりの銀行口座情報を収集・登録しなければなりません。
登録作業には時間がかかることもあり、運用開始までの準備期間が必要です。また、銀行口座に十分な残高がない場合、振替不能となってしまい、その後の対応に手間がかかります。
さらに、クレジットカードのように即時決済ではないため、返金やキャンセル対応がやや煩雑になる点も注意が必要です。
まとめ
月謝や受講料の集金方法には、現金、口座振替、クレジットカード決済など、さまざまな手段があります。現金集金は導入が容易でコストもかかりませんが、手渡しの手間や会計ミスのリスクがあります。口座振替は回収漏れを防ぎやすく、業務の効率化にもつながりますが、初期設定が必要です。クレジット決済は自動決済による利便性がメリットとなる一方、手数料や導入コストが課題です。集金方法の選択には、教室の規模や方針、手数料の有無などを十分に考慮し、慎重に検討しましょう。
