近年、スクールの支払いにキャッシュレス決済を導入するスクールが増加しています。とくに、月謝の支払い管理や単発授業の料金徴収など、煩雑になりがちなケースでもスムーズに受領できる点が大きな魅力です。この記事では、スクールにおけるキャッシュレス決済のメリットに加え、注意点についても詳しく解説します。
キャッシュレス決済の手段を用途別に紹介
商品を販売する業態ではないため「スクールの運営にはキャッシュレス決済は必要ないのでは」と考える人も少なくありません。確かに、スーパーやコンビニエンスストアのように、ひんぱんに決済が発生するわけではありません。
しかし、スクールの運営においても、キャッシュレス決済が役立つ場面は多々あります。ここでは、スクールで利用できるキャッシュレス決済の手段について紹介します。
QRコード決済
物品購入や、単発授業の支払いに適した決済方法です。たとえば、授業で必要な教材や参考書などを生徒が忘れた場合や、文房具の補充などに備えてQRコード決済対応の物販を設置しておけば、現金がない場合でもスムーズに購入可能です。
また、保護者の中には盗難などの金銭トラブル防止のため、子どもに現金を持たせるのではなく、スマートフォンにQRコード決済アプリを入れて管理するケースも増えています。そのため、スクール内での支払い手段としてQRコード決済を導入しておくことは、保護者にも安心感を提供することにもつながります。
さらに、QRコードでの決済はどこで、何に、いくら使用したかの記録が残る機能があります。後日でも決済結果を詳細に確認できるので、保護者にとっては現金よりも安心できるでしょう。加えて、単発授業などの支払いにも便利に活用できます。
クレジットカード決済
定期的な請求などに有効な決済手段であり、自動的に引き落とされるため、漏れがありません。したがって、月謝の支払い手段として非常に便利です。
近年では、公共料金や習いごとの費用をクレジットカードで支払い、ポイントを貯める保護者が増えています。そのため、口座振替よりもクレジットカード払いが望ましいと考える家庭も少なくありません。
クレジットカード決済を導入することで、保護者にとっての利便性が向上するとともに、競争力の強化にもつながるでしょう。
電子マネー決済
現在、電子マネー決済は、キャッシュレス決済におけるメインストリームともいえるほど普及しています。そのため、どの電子マネーを導入するか迷うかもしれません。
そのようなときは、交通系電子マネーに対応するのがおすすめです。その理由は、都市部では多くの子どもが電車やバスで通学しており、交通系電子マネーの所持は一般的だからです。
そのため、電子マネー決済を導入すれば、多くの生徒がかんたんに使用できます。とくに、文房具の購入や追加授業の支払いなどの小額決済が発生する場面では、電子マネーの利便性が大いに発揮されるでしょう。
QRコード決済と同じように、追加した授業代金の支払いなどにも使用しやすく便利です。以上のように、電子マネー決済の導入は非常に有用であり、スクール運営にとって必須ともいえるでしょう。
塾にキャッシュレス決済を導入するメリット
スクール運営においてキャッシュレス決済を導入することは、生徒や保護者のみならず、経営者にも大きなメリットをもたらします。現金のやり取りを減らすことで、支払い管理がスムーズになり、業務の効率化にもつながります。
支払い漏れの防止
キャッシュレス決済を導入することで、支払い漏れ防止が期待できます。現金払いでは、月謝の受領を手作業で確認する必要があります。
一方でキャッシュレス決済の場合は、金銭のやり取りがすべて記録されるとともに手作業でのミスがなくなるため、支払い状況を正確に把握可能です。後から確認できるため、支払い管理作業が容易です。
現金で授業料などを支払う場合には、支払ったかどうかをしっかりと目で見て確認しなければなりません。しかし、キャッシュレス決済ならかんたんに確認できます。
保護者や生徒にとっても、支払いの手間が省けます。また「手持ちの現金がないから支払えない」ということもなくなります。
単発授業の支払いが容易に
柔軟な料金設定ができるとともに、必要な分だけ活用できる従量制システムは割安感があります。そのため、従来の月謝制に加えて1回単位の授業を設定しやすくなり、より多くの生徒の獲得が期待できるでしょう。
物販に対応できる
現金の管理は、想像以上に大変です。管理するスタッフを確保しなければならないため、経費もかさみます。
現金管理が大変であったため、スクール内での物品販売を避けるケースも少なくありません。しかし、キャッシュレス決済を導入すれば、セキュリティ人員を削減できます。
これにより、安全かつスムーズに販売できます。参考書や教材の販売が容易になることで、授業料以外の新たな収益源を確保できることでしょう。
経理負担の軽減
キャッシュレス決済は、会計ソフトと連携すると自動記帳でき、売上データを集計することも可能です。これにより、手作業での記帳ミスが減り、会計処理の効率が向上します。
さらに、現金のやり取りがなくなることで、釣銭の準備や管理の手間も省けるため、業務の負担を大幅に削減できます。
ポイントを獲得できる
キャッシュレス決済を導入することで、支払い時にポイントが貯まるケースもあります。多くのキャッシュレス決済サービスでは、一定額購入するごとにポイントがつく制度を導入しており、今までは支払うだけだった支払い作業に付加価値が生まれます。
このことは、キャッシュレス決済を導入するスクールへの変革が期待でき、新規の生徒獲得につなげられるでしょう。
キャッシュレス決済を導入する際の注意点
キャッシュレス決済は、便利で効率的な支払い手段です。しかし、導入の際にはいくつかの注意点を押さえておく必要があります。
後日入金となる
キャッシュレス決済で保護者や生徒が支払ったお金は、その瞬間にスクールの口座へ入金されるわけではありません。キャッシュレス決済は数多く、入金タイミングは決済事業者によって異なります。
早くても数日、遅ければ1か月程度の時間がかかることもあります。そのため、支払いが発生してから入金されるまでのタイムラグを考慮し、スクールを運営する資金は、十分に確保しておかなければなりません。
後日入金となるのが、キャッシュレス決済最大のデメリットです。導入の際には、しっかりと考慮しておきましょう。
子どもはクレジットカードをもてない
多くの生徒は、クレジットカードをもっていません。クレジットカードは、基本的に18歳以上でないと発行できないため、単発授業や教材の購入にはクレジットカード決済はあまり役に立たないでしょう。
そのため、キャッシュレス決済を導入する際にはクレジットカード決済だけに頼るのではなく、QRコード決済や電子マネー決済など、幅広い決済手段を取り入れることが望ましいでしょう。
まとめ
キャッシュレス決済の導入は、塾やスクールに大きなメリットをもたらします。キャッシュレス決済なら、誰が、いつ、いくら支払ったのかが記録され、支払い状況を正確に把握可能です。また、現金の管理が必要なくなるため、スタッフの削減を実現し、経理負担も軽減します。さらに、支払い時にポイントが貯まるケースでは、支払い作業に付加価値が生まれ、スクールへの乗り換えも期待できるでしょう。キャッシュレス決済の導入にはさまざまなメリットがありますが、導入にあたっては、支払いサイクルの遅れへの対応、未成年が利用しにくい決済手段のみに絞らないなど注意すべき点も少なくありません。これらを考慮し、適切な決済方法を導入することで、スクールの運営がより効率的なものになるでしょう。
